ホラー・ミステリ

機巧館のかぞえ唄 名探偵夢水清志郎事件ノート/はやみね かおる

機巧館(からくりやかた)のかぞえ唄―名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社文庫) 機巧館(からくりやかた)のかぞえ唄―名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社文庫)
はやみね かおる

講談社 2009-01-15
売り上げランキング : 123271

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

「わからないかい亜衣ちゃん。ぼくが怖かったのは、夢と現実を、どうやって見分ければいいか、わからないってことなんだ。」
「夢と現実を見分けるって・・・・・・簡単じゃないの」
「本当にそうかい?」
「だって、今は現実でしょ?」
「自身を持って断言できるかい?」

常識ゼロ、生活力ゼロな自称名探偵の「教授」と、亜衣、真衣、美衣の三つ子の姉妹の
関わる事件を描くミステリ作品の第6巻

これは面白い。シリーズでどれか1冊を選ぶならこれと言うくらい好みな作品。

面白いと同時にすごく怖い作品。ホラーという意味ではないのですが、
正体不明な恐怖が背筋を上ってくるようなものを感じます。

友人の寺で”怪談を語る会”を開く「第I部 怪談」、
あるミステリ作家のパーティに招待される「第II部 夢の中の失楽」、
教授の家の庭に現れた赤ちゃんを巡る「第III部 さよなら天使」の3部構成。

皆が話す会談の真相を嬉々として推理して、雰囲気を台無しにするところは、やっぱり教授ですね。
亜衣の内心のツッコミに拍手。

そんな教授の話す「怪談」、そして後日談を読んだときには背中に冷たいものが走りました。
この感覚は、是非読んで感じて欲しいです。

最後の「さよなら天使」は、前の2作品と打って変わってほのぼのな雰囲気。
けれどそれが返って、これは現実なのか、それとも誰かの見ている夢なのかという怖さが
頭の片隅に浮かび上がってきます。

・・・これを書きながら、今は本当に現実なのか心配になってきてしまいます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

淋しい狩人/宮部 みゆき

淋しい狩人 (新潮文庫) 淋しい狩人 (新潮文庫)
宮部 みゆき

新潮社 1997-01
売り上げランキング : 9837

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ここでは、四角ばって「古書」と称するにふさわしいような本は置いていない。
棚に並べられている商品の大半は娯楽本だ。立派な娯楽本ばかりだ。
小説もあればハウツー本もある。「おえかきのてびき」なんていうものもあれば、童話もある。
ここに古本を買いに来るお客さんたちは、愉しみと夢を求めているのだ。

東京下町、荒川土手下の小さな古書店、田辺書店に関わる事件を描いた短編集。

・結婚式の引き出物に書かれた落書きの謎に迫る・・・六月は名ばかりの月

・亡き父の本棚に残された全く同じ三百冊の本の意味に息子が思いを巡らす・・・黙って逝った

・幽霊が出ると噂される家の買いたい跡から見つかったものとは・・・詫びない年月

・万引きで捕まえた子供の体にはたくさんの痣が・・・うそつき喇叭

・あるOLの考え方を変えた電車の網棚に残された一冊の文庫本・・・歪んだ鏡

・未完の推理小説の内容に沿って起こる連続殺人・・・淋しい狩人


すごく雰囲気の良いお話。

下町の小さな古本屋。たまにご主人と世間話でもしながら古本を物色。
思い浮かべるだけでも幸せになってしまうような光景。こんなお店、近所に欲しいです。

収録された6作の短編は、あらすじだけ聞くと暗いイメージを感じるものが多いのですが、
読み終わるとどこか暖かいイメージを持つのが不思議。

6作品の中で面白いなと思ったのは、2作目の「黙って逝った」。
残された大量の同じ本を見た息子が「父が誰かを脅していたのでは?」と考えるのですが、普通だと悪いイメージを持ちそうなところ、そんな度胸があったことに関心するところがちょっとずれていて面白いです。

また、店主のイワさんと稔の関係が良いですね。高校生くらいになると、両親や祖父母から距離をとりがちなものかと思うんですが、そういった感じではなく、かといってべったりというわけでもなく、良い意味で遠慮が無い。この二人の掛け合いがあるだけでも暖かなものを感じます。

それだけに、稔の恋愛に関わるいざこざで仲違いしてしまったときには、胸が痛みました。
すぐには難しいかもしれないですが、仲直りして欲しいです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

黒水村/黒 史郎

黒水村 (一迅社文庫)黒水村 (一迅社文庫)
黒 史郎

一迅社 2008-05-20
売り上げランキング : 210594

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

単位の足りない問題児達を更正させるために組まれた農村での課外学習に、小説のネタ探しの為に同行した主人公の少女玲佳。
始めは皆文句をいいながらも普通の課外学習だったが、徐々に不気味な出来事が・・・というお話。

ガスも電気も無い、交通手段もない寒村。これだけでホラーな雰囲気十分。始めの和やかなシーンも、これから起こる悲劇を引き立てるような気がして、何も起きる前から既にドキドキしてしまいました。
そして買出しに行く二人を見送った後、ついに悲劇は幕を開けます。
出かけたまま帰らない人、突然の発作で運ばれていく人、一人、また一人と減っていく仲間。段々と不気味に変わっていく村の雰囲気。
よくありそうな展開ながら想像するとやはり怖いもの。暖かな部屋にいながらゾクリとしてしまいます。

ホラー部分以外では、村の住人と主人公等若者たちの意見の違いについての描写が印象的でした。
伝統やしきたりを守ることが義務だと考える住人と、より住みやすいところに移るのが当然と考える若者たち。
程度は違えど、現実に起こっているであろう意見のすれ違い。
ほどほどに田舎でほどほどに便利な町に住む私には、当事者の気持ちは半分もわかっていないのだろうけれど、少しでも歩み寄れる手は無いものかと無い頭であれこれ考えてしまいます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)