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淋しい狩人/宮部 みゆき

淋しい狩人 (新潮文庫) 淋しい狩人 (新潮文庫)
宮部 みゆき

新潮社 1997-01
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ここでは、四角ばって「古書」と称するにふさわしいような本は置いていない。
棚に並べられている商品の大半は娯楽本だ。立派な娯楽本ばかりだ。
小説もあればハウツー本もある。「おえかきのてびき」なんていうものもあれば、童話もある。
ここに古本を買いに来るお客さんたちは、愉しみと夢を求めているのだ。

東京下町、荒川土手下の小さな古書店、田辺書店に関わる事件を描いた短編集。

・結婚式の引き出物に書かれた落書きの謎に迫る・・・六月は名ばかりの月

・亡き父の本棚に残された全く同じ三百冊の本の意味に息子が思いを巡らす・・・黙って逝った

・幽霊が出ると噂される家の買いたい跡から見つかったものとは・・・詫びない年月

・万引きで捕まえた子供の体にはたくさんの痣が・・・うそつき喇叭

・あるOLの考え方を変えた電車の網棚に残された一冊の文庫本・・・歪んだ鏡

・未完の推理小説の内容に沿って起こる連続殺人・・・淋しい狩人


すごく雰囲気の良いお話。

下町の小さな古本屋。たまにご主人と世間話でもしながら古本を物色。
思い浮かべるだけでも幸せになってしまうような光景。こんなお店、近所に欲しいです。

収録された6作の短編は、あらすじだけ聞くと暗いイメージを感じるものが多いのですが、
読み終わるとどこか暖かいイメージを持つのが不思議。

6作品の中で面白いなと思ったのは、2作目の「黙って逝った」。
残された大量の同じ本を見た息子が「父が誰かを脅していたのでは?」と考えるのですが、普通だと悪いイメージを持ちそうなところ、そんな度胸があったことに関心するところがちょっとずれていて面白いです。

また、店主のイワさんと稔の関係が良いですね。高校生くらいになると、両親や祖父母から距離をとりがちなものかと思うんですが、そういった感じではなく、かといってべったりというわけでもなく、良い意味で遠慮が無い。この二人の掛け合いがあるだけでも暖かなものを感じます。

それだけに、稔の恋愛に関わるいざこざで仲違いしてしまったときには、胸が痛みました。
すぐには難しいかもしれないですが、仲直りして欲しいです。

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